現地レポート

8. ハリアナ州(2012/4/13-15 & 4/29視察結果)

「裕福な計画都市・チャンディーガル」と「急開発(商業施設)のデリー衛星都市・グルガオン」

 

 地域情報

GDP: 3.53% (11th)  of Total GDP

面積: 44,212 平方キロメートル (1.34% )
人口: 72,598千人 (6th / 6.00%)
州都: Chandigarh
主要言語: Hindi

 (Source)

 

ハリアナ州は、パキスタン・インド分離独立により分離されたパンジャブ州から、1966年11月にヒンドゥー語を公用語する地域として分離した州である。

ハリアナ州は、パンジャブ州と同様に、一大農業地域であり、ハリアナ州の人口の約65%が農業に従事しており、州の約26%のGDPを農業が占めている。ハリアナ州の主な農産物は、Rice, wheat, jowar, bajra, maize, barley and pulses, sugarcane, cotton, oilseeds and potatoなどである。

一方で、ハリアナ州はデリー首都と隣接する州という地理的な有利性を生かして、グルガオン、ファーリダバードという都市に、企業の誘致を積極的に進めた結果、今日では、世界的な企業が集まる地域を形成している。

 

 

 現地視察レポート(Chandigarh & Gurgaon)

(1) 2012年4月13日~15日、パンジャブ州の州都も兼ねているチャンディーガル連邦直轄領を視察した。
B. チャンディーガル連邦直轄領」のページで報告。

 

(2) 2012年4月29日に、デリー首都の南方に位置するハリアナ州の都市であるグルガオンを視察した。

グルガオンの視察場所は、2012/4/28のThe Times of Indiaの別紙のアパートメント面積あたり価格相場(下記出典参照)に基づいて、グルガオン・ファーリダバードで最も高い相場である「MG Road」と地下鉄Yellow Lineの終着駅である「HUDA City Center」(Sector-43の近く)とした。

 

(i) MG Road

Metro Yellow Lineの「MG Road」の片側方面。下の写真のうち、左は出口から左側、中央は出口正面、右は出口から右側の様子。
メトロ出口を出た正面から左側に複数の大型モールが並んでいる。すべてのモールには入口にセキュリティーゲートがあり、セキュリティーチェックの後、モール内に入ることができる。モールには、アパレルブランド・携帯・本・ファーストフード・香水などの多岐にわたる分野のショップが入っており、大型ショッピングモールといった感じの場所である。また、モール群のすぐ近くには、高級アパートメントも建てられている。

 

Metro Yellow Lineの「MG Road」の上写真とは反対方面。下の写真のうち、左は出口から左側、中央は出口正面、右は出口から右側の様子。
上写真とは反対側のメトロ出口を出た正面にも大型モールが建てられており、入口のセキュリティーゲートから多くの人が入場している。ただ、こちら側は正面のモールの両脇には高級アパートメントが建てられており、その先には建設中のオフィスビルのような建物などが並んでおり、この地域の開発まだまだ緒に就いたばかりとの印象を受けた。

 

(ii) HUDA City Center

Metro Yellow Lineの「HUDA City Center」の片側方面。下の写真のうち、左は出口から左側、中央は出口正面、右は出口から右側の様子。
「HUDA City Center」は、デリー地下鉄 Yellow Lineの終着駅であり、その名前の意味するような地域になるのは、もうしばらく後かもしれない。出口周辺には商店街はなく、駅出口正面に駐車場や歩道などの広いスペースがあり、大きなビルなどは建っているが比較的、閑散とした状況だった。

 

Metro Yellow Lineの「HUDA City Center」の上写真とは反対方面。下の写真のうち、左は出口から左側、中央は出口正面、右は出口から右側の様子。
反対側の状況と同様に、駅出口周辺には、商店街は全くなく、少し離れたところに高級アパートメントがあるが、駅周辺は今まさに開発中といった状況である。

 

[視察を終えて]
チャンディーガルとグルガオンの視察を終えて、州の北端に位置する州都としてのチャンディーガルと州の南端に位置するニューデリーの衛星都市としてのグルガオン、いずれもインドの急速な経済発展を象徴するような最新設備・車両に溢れ、人々の生活もまた豊かでゆとりが感じられるという点において共通していたが、都市設計においては、異なる印象を受けた。

チャンディーガルは、都市設計という大局的な観点から綿密に計画され、実行され、そこで生活する人々にとって必要な要素が、都市に存在する様々な施設や商店等と有機的に結びついて市民に提供されているという、まさに人々が働き、生活し、そして楽しむための場所としての機能が有機的に結びついている印象を受けた。また、チャンディーガルにおいても工事中や建設中の地域は存在したが、それは都市として必要な修繕といった感じであり、違和感はなかった。

一方で、グルガオンは、チャンディーガルと比較して、大規模な資金が投下され、都市として大きな発展の過程にある地域との印象を受けた。大型ショッピングセンター・モール、高級アパートメントは、グルガオンに、ビジネスの拠点としてヒト・モノ・カネが集まっていることを裏付けるものと感じたが、その設計にあたっては、”すきま”が気になった。例えば、大型モール群のすぐ隣は、突然のように森が広がっており、歩いて数歩の間で、資金の流れが止まっている異様な感覚を持った。また、メトロ出口正面に位置する大型モールとメトロ出口の間の、舗装のされていない歩道は、巨大な資金により最新の設備とされているメトロと大型モールの間にぽっかりと空く、お金の行き渡っていない部分を感じさせる空間であった。

そこに集まっている大型モールや住宅は、確かに日本でもよく見るような大型ショッピングモールと同じような設備やサービスを備え、「豊かになるインド」という印象を強烈に出しているが、そこで提供されるサービスとその近くにある高級アパートメントなどが、有機的に結びついて人々の生活するための必要なものが備わって、まさに人々が生活するための地域であるようには感じられなかった。突如としてある地域を開発して、巨大な資金を投じて、そこに大型の箱モノを作った段階という印象に近い。その箱モノに人が住み、箱モノと人々の住まいや地域が有機的に結びつくには、しばらくの時間が必要であり、人の流れが徐々に徐々に待ちにシナプスを形成して、この違和感を解消していくものと思われた。

インドにある各都市には、旧市街と新市街とが有機的に結びつき、人々が生活し、働き、楽しむという機能を備えている。グルガオンも徐々に古いものと新しいものが有機的に結びつき、今からさらに雰囲気を変えていくのではないかとも思われる。

 

 

<出典>
The Times of India(2012/4/28), AVG APARTMENT PRICES: NEW DELHI NCR